第九回 『のーりーずん』
前にも言ってますが、好きという気持ちに対して、その理由をなかなか挙げられないというのは、ぜんぜん悪いことではないと思っています。頭の中に無限に広がる感情を言葉に凝縮してしまおうだなんて、少なくとも、優れた詩人でない自分には困難です。だから、へたに詩人を気取るより、好きなら好きで、それだけで十分と思ってしまうんです。好きな人の好きな部分は、たくさんありすぎて、なかなかあげられないものです。
何か、恋愛について書いておこうと思ったら、前に書いたことをもう一度、書いてしまいました・・・・
はい!というわけで、今回、紹介するのは、ラブコメです。ラブ・コメディー!!良質な映画があまりに希少なこの分野にて、素敵な映画を撮り続けている人がいます。彼がいなかったら、自分の人生、そして、自分というキャラクターは、いま以上にお粗末なものであったに違いないとさえ思うんです。
大好きです。
ウディ・アレン。
彼はたくさんの映画を撮っていますので、そのすべては把握していません。と、いちおう前置きしてみましたが、とりあえず、一番好きな作品はこれです。
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この映画、本当に大好きなんです。すっごくロマンティックで、ものすごく素敵な映画です。最高に面白いです。何度も見てますが、また見たいです。別に難解な作品とかではないので、誰にでもおすすめしたい。でも、どちらかというと、「映画はラブコメが一番好き」という人より、「ラブコメなんてクソだっ!何が恋愛だ!!」そう思っているあなたに、どうか見ていただきたい。その基本精神は理解できなくないです。でも、こいつは素晴らしいんです。この映画を見て、そのあまりにロマンティックな美しさにひとり涙してください。
個人的に、この作品は、ロマンティックな映画、ベスト1ですね。昔、英会話の先生と一緒に見たら、彼女は大学の映画の授業で見たことがあると言ってました。カナダの大学では粋な授業があるものだなと感心しましたね。
ストーリーの説明は好きではないんですが、あまりに素敵なストーリーなんでしちゃいます。
冷たい夫と平凡な生活をしている、しがない主婦シシリアにとって、映画を見に行くことは彼女の人生において、大きな楽しみの一つである。ある日、大好きな二枚目俳優が出ている映画を見ていると、彼が演じているキャラクター(ロマンティックな冒険家)がその映画や見ている客に対して不満を抱き、不平を言うばかりか、スクリーンの中から外の世界に出てきてしまう(←リングみたい)。そして、シシリアと出会い、恋をしてしまうわけです。一方、その役を演じた俳優は、自分の演じたキャラクターが現実の世界で何か事をしでかしたら、自分にも火の粉がかかると、そのキャラクターに映画の中に戻るよう説得するため、彼を探しにいく。そして、シシリアがそのキャラクターと仲が良いことを突き止めるのだが、シシリアの純朴な性格に惹かれ出し・・・・といった感じです。あぁ、最後まで話してしまいたい!その終わり方についての自分の見解をがっつり語ってしまいたい!でも、そんなことをしたら、これを読んでくださった方々が“あえて見なくてもいいや”症候群になってしまう!!
だから、とにかく、見てください!
他にも好きなやつはたくさんあります。
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いっぱい紹介しすぎて一つ一つを語るのあきらめます。とりあえず、みんな面白いです!みんな好きですが、ギター弾きの恋なんて、自分がギターをかじっていることもあるのか、やけに思い入れがあります。前の前のバンドでは、バンド名にこの映画の原題からの単語を使っていますし。
ちなみに、わたくしが所属しているバンドのサイトで書いている日記は、彼の映画『地球は女でまわってる』から題名を拝借しております。。
彼の作品は音楽も素晴らしく、自分のジャズへの傾倒は、彼の映画のサントラから始まっております。わたくし、彼の音楽への熱意も尊敬しております。何せ、ジャズバンドの練習があるために、オスカーの授賞式に出席しないらしいですから。ホント、かっこいいです。
きょうの一曲。
"I'm throgh with love"
ぼくの愛は終わった
もう誰も愛さない
さよなら 愛
もう二度とやって来ないでくれ
きみ以外の人なんて考えられない
だから ぼくの愛は終わったんだ
ぼくは心に鍵をかけ
感情をそこにしまっておくことにした
ぼくは自分のハートを
冷凍することにした
もう誰も愛さない
だって ぼくの愛は終わったんだ
30年代(西暦)にヒットしたという、Everyone says I love youで使われたジャズのスタンダードナンバーです。
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'adieu' to love.
そんなことを言ってるやつに限って、すぐ次の恋に夢中になるもんです。
第八回 『完成された映画』
芸術に関して、どれほど優れた作品であろうと、完成などという言葉は適していないと思います。個人的に、芸術というのは未完成なものであると思っているからです。未完成なところが魅力的な作品もたくさんありますし。
ですが、あまりに高い完成度で作られたものを見ますと、非の打ち所が見つからず、あたかも完成されてしまっているような印象を受けることがあります。その未完成な部分もまた、その一部として。
音楽の分野ですと、ショパンなどのいくつかの作品とか、ジャズのいくつかの作品はそういった印象を受けてしまいます。
ここであげるのは、作品としてではというより、映画という表現のスタイルの一つとして、完成されたと思ってしまうような作品です。
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いわゆる、サイレント映画です。でも、サイレントといっても音がないわけではなく、音楽はあります。
個人的に、サイレント映画というのは、映画という表現のスタイルの中で、もっとも映画らしいスタイルであるような気がします。動く絵があって、音楽がある。無駄なしゃべりがないせいか、ものすごく詩的です。映画という枠でできる表現の最も洗練された形は、サイレント映画だと勝手に思っています。
このチャップリンの街の灯を観たとき、自分の腐った心情が洗われるような感じがしましたね。本当に素晴らしい作品です。ベタな言い回しですが、笑いあり、涙あり、ですか。ものすごく嫌いな言い回しですが、それはチャップリンのキッドの冒頭で「笑いと、たぶん涙の物語」と彼が考えた言葉であるからでしょうか。涙を笑いで大きく振らせたらチャップリンでしょう。ちなみに、暴力(死)を笑いで振るのが武さんです。
個人的に、このチャップリンという人、ものすごく罪な人だと思うんです。映画というスタイルで、あまりに高いレベルのことをやってしまったので、誰もその高みに追いつけないんです。彼自身もまた、あとあとそのレベルに追いつけなくなりましたし。
彼はまた多才です。監督、主演、脚本、製作、そこまではあり得るとしても、音楽まで作っていますからね。そのジャンルの中ではシンプルな形ですが、素敵な曲をオーケストラの楽譜で書いているわけです。
個人的に、才能のある人は、皆、多才です。絶対的なセンス、感性があるので、何をやっても、レベルの高いことをします。多芸は無芸ということわざもありますが、それは言葉をまちがえており、一芸すら身につけていない、気が散漫な感性の低い凡人のに対してであり、才能がある人は多芸になりえます。
彼の作品は数多くありますので、自分も一部しか見ていません。が、すべて、見る価値のあるものであるとは思います。とりあえず、彼は映画という表現のスタイルを作った一人と言えるくらい、その後に与えた影響ははかりしれないでしょう。個人的な考えですが、チャップリンとシェイクスピアで、映画の7割は説明ができます。
好きな作品は、シティー・ライツをはじめ、
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サイレント映画といってもチャップリンだけが優れていたわけではないので、ほかにも紹介したいと思います。
まずは、バスター・キートンです。一番の有名どころはこれでしょうか。
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こんなんも出ていました。
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近頃、TSUTAYA沼津学園通り店に、バスター・キートン傑作集の1〜7巻、すべてのDVDが入荷されていてびびりましたね。何気にうれしいです。
有名なサイレント映画で真面目どころでは、このへんでしょうか。
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最後に紹介したいのは、現代のサイレント映画です。一つはサイレント映画で、もう一つは、普通にトーキー映画ですが、サイレント映画の雰囲気を持った作品です。
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'Can you see the light?'
第七回 『死に至る病』
『死に至る病とは、絶望のことである』
キルケゴールの「死に至る病」ですね。十年くらい前に一度読んだきりなので、内容はまったく覚えていないのですが、その有名な冒頭はよく反芻しておりました。
「絶望が死に至る病であるということ−
人間は精神である。しかし、精神とは何であるか?精神とは自己である。しかし、自己とは何であるか?自己とは、一つの関係、その関係それ自身に関係する関係である。あるいは、その関係において、その関係がそれ自身に関係するということ、そのことである」
まったくもって、内容は覚えておりませんし、その言葉の意図していることも、キリスト教とからめている程度のことしか覚えていませんが、『死に至る病とは、絶望のことである』その一言に単純にしびれました。
個人的に、極度のノスタルジアというものは、決して触れることの出来ない過去に対する憧憬という点で、絶望的ではないのかと考えたりします。『希望は過去にしかない』とはバルザックの言葉です。とにかく、過去というものはあまりに美しいです。
ノスタルジアというものが絶望的に思えるため、それもまた死に至る病のようなものなのではないかとかと思ったりします。強烈にノスタルジックな気分になると、死というものに対して考え、死に対する思考の境界線が曖昧になったりします。「もう死んでもいいかな」とか「いつまでも死にたくないな」とか。
今回、紹介する映像作家の作品群は、ものすごくノスタルジックであり、あまりに美しく、そのカタルシスはすがすがしさを越え、苦しくなり、絶望的な気持ちになったり、不思議なくらい死について考えさせられてしまいます。
氏の代表作といったら、これでしょうかね。
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個人的には、楽しく見てはいられないんです。あまりの美しさに、苦しくなります。見る前と見たあとでは、あきらかに気分がかわります。意外なくらい、見るときには心して見ます。
宮崎氏の作品で、一番好きなのはこれ。
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この作品は、人の言うように、男向けの映画なんでしょうかね〜。これが宮崎氏の作品の中で一番好きという女性は、いまのところ、知りません。もしそんな女の子と出会えたら、それだけで恋してしまいそうです。
紅の豚は、いつ見ても、心まで届いてきます。
とりあえず、宮崎氏の作品はみんな好きなのですが、一般的には一番の人気があり、個人的に一番見ないのはこれです。
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そのせいで薄い印象を受けるのか、あんまり繰り返して見ようとは思いませんね。
彼は皆さんも知っているとおり、素晴らしい感性、タレントの持ち主であり、失敗作というのはありません。それは最近の作品についてもです。
彼の作品のエッセンスは、この作品に顕著に表れている気がします。
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人間と自然をキャラにして対比させ、その間に挟まれる主人公。そこに利己主義な悪人はいないけど、うまくかみ合わないという、イプセンのいう現代悲劇論。
固く、説教っぽい。はずなのに、超ビッグヒット!!こんなに高尚な作品を子供までわかるのか!と思ってしまいますけれど、そこが彼のすごいところでもあります。そんな主題、構成を子供にまで楽しく見させてしまうのです。そのファンタジックな世界観と、嫌味っぽくない希望には、普段、へそ曲がりな自分でも、受け入れられたりします。
公開当時、かの超凡作タイタニックが日本で一番売れた映画でしたので、この映画がその記録を抜いてくれて、日本人の感性も捨てたものではないのじゃないかと、勝手に思ったりしました。
これも好きです。
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いろいろとわけがわからなくなるくらいに詰め込まれているのですが、誰にでも楽しく見させてしまう、氏の手腕には感動すら覚えます。自分は映画館に三回ほど見に行ってしまいました。
ちなみに、千と千尋占いで、自分はハクでした!
こいつも良かったです。
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この原作は、よくある内容の薄い子供向けのファンタジーでして、徳間書店から出ていることからも、宮崎氏本人が映画化したがったとは思えませんが、そんな原作をあそこまでのグレードにした、氏の感性、脚色にはただただ脱帽です。
もちろん、これらも好きです。
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かなり前のことですが、自分としては非常に精神が病んでいた頃、魔女の宅急便を何年かぶりに見たのですが、オープニングでキキが草原に寝転がって空を見ながらラジオを聞いているシーン、久石氏のあの有名なワルツが流れたときには、恥ずかしながら、ボロボロ泣いてしまいましたね。
それほど彼の作品は美しいです。心が洗われるという表現をしたくなります。
ちなみに、ナウシカの映画も素晴らしいですが、漫画の方をよく読みました。すっごくいいので、おすすめです!自分の中で、ベストな漫画10の一つです。
きょうのキルケゴール。
「現代は本質的に分別の時代であり、反省の時代であり、情熱のない時代であり、つかの間の感激に沸き立つことがあっても、やがて抜け目なく無感動の状態におさまってしまうといった時代である」(現代の批判より)
ちなみに、わたくし、デンマークのT-REXというブランドののエフェクターが好きで、2つほど所有しておりますが、キルケゴールがデンマーク生まれであることを意識したわけではありません。
第六回 『たかがゾンビ、されどゾンビ』
ある映画に対して、好きを越えた、愛さえ感じさせるほどの強い気持ちを持った人が、探せばときどきはいると思うんです。いままで、それに近い人は幾人か見てきましたが、本物は一人だけです。でも、おそらく、自分の知らないところで点在しているはずです。あなたの近くにも、いるのかもしれません。
兆候として、
- その映画を数え切れないほど見ている。DVD、またはVHSを所有しているのはあたりまえ。
- もちろん、サントラも所有。ときどき、街やテレビでその中の曲が流れるたびに、ついにやけてしまう。
- 登場人物が多いけれど、7人以上の名前は当たり前のように覚えている。
- オリジナルの台詞をところどころ覚えていて、口ずさむのが好きだ。
- 自分と同じ気持ちを持っている人とは、瞬時に心がつながる。
この映画ですね。
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自分もかなり好きでしたね〜。
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でも、やっぱり、この時期のタランティーノの映画、最高に面白いんです。この間、久々にパルプフィクションを見たのですが、やっぱり面白くてしょうがないんです。ものすごく眠かった状況にもかかわらず、最後まで楽しんでしまうんです。一緒に見たササモト氏の目が、疲労と睡魔のために普段の半分くらいまで細くなっていたにもかかわらず、最後までちゃんと見たことを覚えています。
そのササモト氏とは、映画を作ろうという構想がすらあるのですが、氏となら「いけるな」と思った瞬間が他にもあります。
「goは面白かったよね」
もちろん、この「go」です。
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そのササモト氏、ナイスなセンスをしているわけで、そのセンスで選んだ面白い映画のDVDを貸してくれます。
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そして、衝撃的面白さだったのがこいつですね。
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この映画には愛が詰まっています。ゾンビに対する愛が。そのため、この映画には、手抜きのようなものが感じられません。すべての瞬間が面白いです。細部に至るまでのこだわりが感じられます。そんなゾンビに対する愛情が、自分にはうれしくてしょうがないわけです。
もちろん、これをものすごくすすめてくれたササモト氏は、この映画に対する愛情があるのです。自分が見終わったのは午前4時くらいだったのですが、この映画があまりに面白かったので、それを伝えたく思い、氏にメールしますと、ちゃんとすぐに返ってきてしまうのです。しかも、熱く、長い文章。午前4時に!原語の台詞と字幕の違いなどにも触れているところに、このゾンビ映画に対する愛情を感じるのです。午前4時だというのに!!
氏とはいつの日か、いつの日でもいいから、一緒に映画を作りたいですね。
そのササモト氏の所属するバンド、ERGEがレーベルからCDを全国に向けて発売するとのことで、映画論ですが、紹介させていただきます。
[rakuten:d-sound:10005178:detail]
彼らは純粋にかっこいいです。しかも、みんないいやつ。といっても、だから紹介するわけではありません。
普通に、すごくいい音楽だと思うんです。友達ですし、帯の文も書かせていただきましたし、CDの一枚くらい、くれるだろうとは思っていますが、早くほしかったのでネットで注文してしまいましたね。ま、一枚は保存用にしますかね。
ってか、こんなのに登録されているなんて、いいなぁ。
きょうの声に出して読みたい英語。
『ゼッヅ デッド ベイビー。ゼッヅ デッド(Zed's dead,baby.Zed's dead.)』
第五回 『巨匠と呼ばれる男』
巨匠というあだ名の友達がいます。彼があまりにアイドルとAVに詳しかったので、自分の知り合いの子にそう命名されました。
日本人で、世界の巨匠とか、世界の誰々と呼ばれる人はときどきいます。が、本当に世界的にそう認識されている人はほとんどいないという話を聞いたことがあります。よくファッション業界で「世界の誰々」というのが使われますが、だいたいは日本でしか知られていないけれど、その言葉の持つ素晴らしき宣伝効果のために、大枚をはたいて世界的なコレクションなんかに出るというような話を聞いたことがあります。
もちろん、本当に世界的に、巨匠と呼ばれるにふさわしい人がいます。映画界で最も影響を及ぼした10人というのがいるとしたら、彼は間違いなく、その中に入ります。
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すごいですね。やっぱり、すごいんですよね。何がすごいって、黒澤氏本人がすごい!あの時代の生まれで身長は180センチを超え、西洋人と並んだりしても「やりあえるな」と思わせるところは、もう世界を舞台に活躍するために生まれたような印象すら感じます。
他にも、用心棒とか、生きるといった作品が有名ですかね。氏の作品は、基本的に名作とか傑作と謳われます。けど、そういう「これが名作なんだな」とかいう変な偏見を持って見ない方が良いかと思うんです。
この二作品、羅生門と七人の侍はあまりに有名すぎる。でも、やっぱいすごいんですね〜。面白いし、よく出来ているんです。現代の映画に与えた影響は計りしれません。
もともと黒澤さんは絵描きでしたから、絵のダイナミズムみたいなものは、素人の自分でもすごいと思ったりします。「邪魔だから、そこの電信柱を切っちゃって」と言ったという伝説もあります。
しかしっ!自分が言いたいのは、彼がいかに優れた脚本家であったかですね。
自伝とか、氏に関する本とかを読んで、彼がロシア文学をこよなく好いていたことがわかります。トルストイをはじめ、ドストエフスキーにプーシキン、チェーホフはどうだったか覚えていませんけど、ツルゲーネフなんかも好んでいましたね。
彼もまた、脚本というものを一番に考えていたようで、映画監督になりたいという人に対して、カメラを持つ前に、書き物をちゃんと学ぶようにという助言をしておりました。
自分は黒澤監督のドラマらしいのが一番好きだったりします。
一番好きなのは、これ!
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雪の降っているシーンがあるんです。傘を持っていない男の人がいます。そこに女の人が傘を持ってきてあげるだけなんですが、このシーンがものすごく美しい!モノクロの画面に生える雪の白、そこにたたずむ二人!かいがいしい娘っ子と、「お嬢さん、こんくらいへっちゃらですよ」みたいなことを江戸っ子らしくいう男のかっこよさ!!まさしく粋ですね。あまりの素晴らしさに泣きそうになりました。自分の中で、映画で最も美しいシーンの一つです。
思い出したら、また見たくなりましたね。すごく素敵な映画です。
自分の大好きな作家、ガルシア・マルケス氏も、この映画が一番好きだと言っていて驚きました。彼は黒澤さんのファンだと自認していましたし、黒澤さんも彼の本が好きだと言っていました。
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黒澤監督の映画で素晴らしいのは数知れずあります。自分も全てを見たわけではないですし。ので、知っている範囲で紹介したいです。
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きょうのまとめ。
「そりゃあ、スピルバーグだって金を出しちゃうよ」
追記。
黒澤さんは、武(北野)さんに「これからの日本映画界を頼む」と言ったらしいです。
ものすごい会話です。しびれますね。
第四回 『だまされたと思って』
自分は、好きな作品などに対して、あまり説明はしないようにしています。好きなら好きで、それだけでいいと思うからです。好きに理由はなくてもいいと思っています。だから、説明は最低限にして、自分の感じた印象を言うようにしています。やっぱり、自分が面白いと思ったこと、自分が好きだということを一番伝えたいわけなんで。
あまりに説明ばかりすると、本当に好きな気持ちが伝わりづらくなってしまうと思うのです。
好きな人のどこが好きかと聞かれると困るっていうのはよくある話です。それは好きなところが見つからないと言うより、みんな好きだからかなと思うんです。
と、本題に入りますか。
「だまされたと思って、・・・・をしてみて」というような言い回しは、ごくごくありふれています。ですが、だまされるとわかっていて、あえて、本当にちゃんとだまされるほどのバカ、または天才はなかなかいないわけで、「だまされたと思って」というのは、お願いの仕方の一つであるというのが実際のところではないでしょうか。
昨年の話です。自分も言われたわけです。
「だまされたと思って、こいつを見てくれ」
エピソード1は見ていたのですが、それでもういいやと懲りて、2以降は見ていませんでした。が、彼は
「1と2はつまらなかった。でも、この3は違う!スピルバーグも大絶賛だ!」
「スピルバーグはいつも絶賛さ。彼は褒め上手なんだよ」
「いいから、とりあえず、これは面白いから見てみろ!」
で、見たわけです。
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「!?」
でした。それから、
「??」
「!?」
となって、
「!!!!」
「だ、だ、だまされたのか!!おれは、まんまとだまされたのか!?」
そんなはずはないと。善良なあいつがおれをだますはずがない。
でも、見つからない。面白い部分が見つからない。何が楽しいのかわからない。なぜだ!おれの目は節穴か!
ということで、見落としがあったのではないかと思い、もう一度見てみました。
でも、やはり何が面白いのかわからない。どこに面白さがあるのかわからない。
結論。
これはつまらない。少なくとも自分にとっては。
ま、感性も、見方も人それぞれということですね。それぞれが楽しければ、それでいいと思います。
ということで、よく言う「だまされる」系の映画でも紹介しますか。
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ま、確かに良くできているし、面白い。ケビン・スペイシーもかっこいい。しかし、何だかもの足りない。二度目に見ると、明らかに魅力が薄い。
たぶん、薄っぺらい映画なんだと思います。この監督さんが他に面白い映画を作れなかったことからも、あまり優れた感性の持ち主ではなく、たまたまいい脚本に出会って出来た産物といったところでしょうか。でも、一度だけ見るには面白いのではないかと思います。あまり内容の濃い映画を見る自信のない人にはおすすめ。
そして、最近、流行みたいになってるこれ。
- 出版社/メーカー: アスミック・エース
- 発売日: 2005/10/26
- メディア: UMD Universal Media Disc
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(ネタバレ注意報)
この映画は、うまくだまされたというより、嘘をついてだまされるんです。パッケージの説明を見ると「二人の間の自殺死体」と完全に言ってしまっているわけです。そう思わせるならわかりますが、こうはっきり言ってしまうと、嘘以外の何ものでもありません。自殺死体と言われていたものが、最後にすくっと立ち上がっても「あれ!?」と思うわけで、「てっきりやられた」とは思えない。ま、自分はどっちかというと感心しましたけど。長時間、同じ体勢で身動きもせず、もちろんトイレなども行かず、あの老人の精神力といったら!!仙人に違いない!いや、老人だからこそできるワザなのでは!とか。
要するに、犯人が誰かわからなくするというのは難しいことではありません。あまり出さないで忘れさせればいいんですから。どちらかというと、犯人を最初にわからせておいて、最後までその映画を見させることの方が難しいです。犯人を知っていても、だれずに見れるだけの緊張感を出すことのほうがすごいです。となると、やっぱりドストエフスキーの罪と罰はすごいんですよね。
で、この映画ですが、ところどころ小道具なんかを面白く使っていて楽しいのですが、基本が間の抜けた映画です。濃い映画が苦手なあなたにはおすすめです!
で、これですか。
- 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- 発売日: 2006/09/08
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最後に、声を大にして言ってしまいたいのは、だまされる系などと映画のジャンルを区切るのは間違っているのでは、ということです。
きょうのまとめ。
『お願いだから、ウソだけはやめて』(某女史談)
第三回 『ケン・ローチを見よ』
ものすごく個人的な考え方なんですが、あまり映画を見ない人というのは、映画のラストばかり気にする傾向があるような気がします。ラストでその映画の価値が決まるくらいの勢いがありますね。基本的に、最後がどうだったっていう話ばかりをします。逆に、よく映画を見ている人は、終わり方というのは確かに重要な要素ではあるけれど、全体の一部でもあるという意識であるような気がします。
個人的に、オープニングについて熱く語るなんて、その映画が本当に好きなんだな〜って感じて嬉しくなります。ま、あまり見ない人は見ない人で、その人なりに楽しければ、それはそれでいいとは思いますが。
「キッズ・リターンのタイトルが出たときには、思わず震えたね」
「レザボア・ドッグス。あのオープニングは神懸かり的ですね」
「ブギー・ナイツのオープニングでの長回しには、息が止まりそうになったよ」
「ドーン・オブ・ザ・デッドのオープニングが、圧倒的で素晴らしいんです」
と、本題に入ります。
- 出版社/メーカー: Live / Artisan
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この作品で、ケン・ローチを知ったのですが、ぶん殴られたような感じでしたね。すごくいいんです。こんな素敵な感性を持った人がグレート・ブリテンにもいるんだと思ってびびりましたね。
そして、もう一本。
- 出版社/メーカー: アミューズ・ビデオ
- 発売日: 2003/08/22
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いいんです、これがまた。ものすごくいいんです。もう、殴られただけでなく、殴り倒されましたね。素晴らしく面白いんで、見なきゃダメです、これは。とりあえず、ものすごくおすすめですね。
彼の映画は、アラン・シリトーを想起させます。そして、自分はアラン・シリトーの長距離走者の孤独を十代の頃はいつも持ち歩いていたんですよね〜。
ところで、ケン・ローチ氏はようやくカンヌでパルムドールを獲りました。ま、良い映画であることと、賞を獲ることはまったくの別問題ですが、大きな賞を獲ったことで、彼の名前がもっと知れ渡り、多くの人が彼の映画を見る機会ができればうれしいものです。
余談ですが、アメリカのアカデミー映画賞、通称オスカーは、良い映画のためにある賞と考えるべきでないと思います。あれはアメリカ人、ハリウッドの映画のお祭りです。映画祭りです。受賞すれば、いい宣伝文句にもなりますし。
もちろん、良い映画がアカデミー賞を獲ることもあります。でも、個人的にはゴールデン・ラズベリー賞の方が楽しみです。通称ラジー賞。ネーミングからステキです。
イギリス映画というのは、ハリウッド的な型の映画に飽きてしまった人にはいいと思います。たくさん優れた作品があります。別に小難しい芸術っぽいのをやろうとしているのではなく、映画というエンターテインメントでグレードの高いものを作ろうという意識が好きですね。お金をかけて大げさなことをやれないので、内容でがんばっているといったところでしょうか。
例えば、これ。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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これは、単純に楽しいです。やっぱり、優れた作品というのは、面白い、楽しいというのが第一にあると思います。楽しみ方、面白いと思うことは人によって違うんでしょうが。
トレインスポッティングが世間をにぎわし、自分も見てみましたが、シャロウ・グレイブの方が面白かったな、と普通に流してしまいましたね。
でも、この頃の彼には勢いがありました。ビーチを見てから、彼の映画を見なくなってしまいましたが、いまはどんなものを作っているのでしょうか?
そして、みんなが好きな、これ。
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自分も大好きです。サントラも持ってました。いつの日か、自分が決闘に出かける日の朝には、アランフェス協奏曲第二楽章の主題を聴いて出かけようと考えていましたね。淀川さんもこの映画が好きだって言ってました。
もうあまり覚えていないのですが、これも面白かったような記憶があります。
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いまをときめく、ケイト・ベッキンセールの髪がものすごい短かかったことだけはよく覚えています。この映画を観たとき、そこの小さな映画館には自分一人だけだったんですけど、途中で音声が途切れて(5分くらい)ぶち切れそうになったという嫌な記憶があります。金を返せくらいのことをつぶやいてましたね。
そして、こいつ。
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ [DVD]
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ガイ・リッチーはマドンナの夫になってから、あまりいい仕事をしていませんね。ショーン・ペンのこともあるし、マドンナさげまん説が浮上!
そして、デイヴィッド・ボウイのファンである自分が、ものすごく期待した映画。
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きょうのまとめ。
「北野武とケン・ローチを観ずして、現代の映画を語るべからず!」
って言いたいくらい、二人の映画は観てほしい!
ところで、トラックバックとは何なのさ。