2007-01-01から1年間の記事一覧

第九回 『のーりーずん』

前にも言ってますが、好きという気持ちに対して、その理由をなかなか挙げられないというのは、ぜんぜん悪いことではないと思っています。頭の中に無限に広がる感情を言葉に凝縮してしまおうだなんて、少なくとも、優れた詩人でない自分には困難です。だから…

第八回 『完成された映画』

芸術に関して、どれほど優れた作品であろうと、完成などという言葉は適していないと思います。個人的に、芸術というのは未完成なものであると思っているからです。未完成なところが魅力的な作品もたくさんありますし。 ですが、あまりに高い完成度で作られた…

第七回 『死に至る病』

『死に至る病とは、絶望のことである』 キルケゴールの「死に至る病」ですね。十年くらい前に一度読んだきりなので、内容はまったく覚えていないのですが、その有名な冒頭はよく反芻しておりました。 「絶望が死に至る病であるということ− 人間は精神である…

第六回 『たかがゾンビ、されどゾンビ』

ある映画に対して、好きを越えた、愛さえ感じさせるほどの強い気持ちを持った人が、探せばときどきはいると思うんです。いままで、それに近い人は幾人か見てきましたが、本物は一人だけです。でも、おそらく、自分の知らないところで点在しているはずです。…

第五回 『巨匠と呼ばれる男』

巨匠というあだ名の友達がいます。彼があまりにアイドルとAVに詳しかったので、自分の知り合いの子にそう命名されました。 日本人で、世界の巨匠とか、世界の誰々と呼ばれる人はときどきいます。が、本当に世界的にそう認識されている人はほとんどいないと…

第四回 『だまされたと思って』

自分は、好きな作品などに対して、あまり説明はしないようにしています。好きなら好きで、それだけでいいと思うからです。好きに理由はなくてもいいと思っています。だから、説明は最低限にして、自分の感じた印象を言うようにしています。やっぱり、自分が…

第三回 『ケン・ローチを見よ』

ものすごく個人的な考え方なんですが、あまり映画を見ない人というのは、映画のラストばかり気にする傾向があるような気がします。ラストでその映画の価値が決まるくらいの勢いがありますね。基本的に、最後がどうだったっていう話ばかりをします。逆に、よ…

第二回 『拝啓 北野武様』

この気持ちを書きたいばかりに、作ったブログです。 「拝啓、北野武様 武さんの映画を好きな人はたくさんいると思います。ものすごい好きな人もたくさんいると思います。夢中な人もたくさんいると思うんです。 でも、不思議なことに、根拠もないんですが、自…

第一回 『映画は好きですか!?』

と聞かれれば、「そうでもないです」と答えています。 しかし、その言い回しが本当に正しいのか、自分でも考えているわけで、たいていの映画はつまらないから好きではないけれど、好きな映画もたくさんあるというのが実際のところです。割合として、好きでな…